結論エビデンスレベルとは、研究デザインごとの根拠の強さの目安です。強い順に、I ランダム化比較試験のシステマティックレビュー・メタ分析 → II ランダム化比較試験 → III 非ランダム化比較試験 → IVa コホート研究 → IVb 症例対照研究・横断研究 → V 症例報告・ケースシリーズ → VI 専門家の意見と並びます(Minds 2007 の分類)。
エビデンスレベルは、ピラミッドの図で示されることが多い考え方です。看護研究や国家試験でも「エビデンスレベルが最も高いのはどれか」と問われます。ただし、レベルは研究デザインの型で決まる目安で、同じ型でも研究の質によって信頼できる度合いは変わります。エビデンスそのものの意味はエビデンスとはをどうぞ。

エビデンスレベルの一覧(研究デザイン別)
| レベル | 研究デザイン | どんな研究か |
|---|---|---|
| I | ランダム化比較試験を対象とするシステマティックレビュー(メタ分析を含む) | 決めた方法で関連する試験を集め、質を評価して結果をまとめる(数値で合算する場合をメタ分析という) |
| II | 1つ以上のランダム化比較試験 | 参加者をくじで2つ以上の群に分けて比べる |
| III | 非ランダム化比較試験 | くじを使わずに群を分けて比べる |
| IVa | 分析疫学的研究(コホート研究) | ある集団を先へ追いかけ、要因のある人とない人の結果を比べる |
| IVb | 分析疫学的研究(症例対照研究・横断研究) | 結果が出た人と出ていない人の過去を比べる/一時点で比べる |
| V | 記述研究(症例報告・ケースシリーズ) | 比べる相手を置かずに、患者の経過を記述する |
| VI | 患者データに基づかない専門委員会や専門家個人の意見 | 研究のデータではなく、経験や考えにもとづく |
ピラミッドの上ほど強いとされる理由
くじで分けると、比べる群がそろう
ランダム化比較試験は、参加者をくじで分けるので、年齢や体力などの違いが、平均すると群の間で小さくなります(偶然の偏りは残ることがあります)。群の違いが「試したことの有無」に近づくので、結果の差を原因と結びつけやすくなります。観察研究では、もともと違う人たちを比べることになり、その違いが結果に混ざります(相関関係と因果関係の違い)。
研究を系統的に集め、合算できる場合は精度を高める
1本の研究は人数が限られ、偶然のぶれが入ります。システマティックレビューは、決めた方法で関連する研究を集め、質を評価してまとめることで、都合のよい研究だけを選ぶ偏りを減らすことを目指します。適切な研究をメタ分析で合算できれば、推定の精度が高まることがあります。ただし、研究の質や結果の違いによっては、合算が適切でないこともあります。人数とぶれの関係はサンプル数と誤差の早見表にまとめています。
エビデンスレベルと推奨度の違い
診療ガイドラインでは、研究デザインの型だけでなく、研究の質・結果のそろい方・人数なども見て、根拠の確かさ(エビデンスの強さ)を決める方法が使われています。Minds の手引き(2014年版以降)では、エビデンスの強さを A(強)・B(中)・C(弱)・D(非常に弱い)の4段階で表します(2017年版の表記)。推奨度は、エビデンスの強さに、利益と害のつり合いや患者さんの希望などを合わせて決める「どれくらい勧めるか」で、エビデンスレベルとは別のものです。
エビデンスレベルを見るときの注意
| 注意 | 理由 |
|---|---|
| 型だけで決めない | 人数が少ない・途中で抜けた人が多いランダム化比較試験は、信頼できる度合いが下がる |
| 観察研究しかできない問いもある | 喫煙のように、くじで分けて試せない問いは観察研究で調べる |
| メタ分析も中身しだい | 集めた研究の質が低ければ、合算しても結論は強くならない |
よくある質問
Q1. エビデンスレベルが最も高い研究デザインはどれですか
ランダム化比較試験を集めたシステマティックレビュー・メタ分析です(Minds 2007 の分類でレベル I)。
Q2. コホート研究のエビデンスレベルはいくつですか
Minds 2007 の分類では IVa(分析疫学的研究)です。症例対照研究と横断研究は IVb です。
Q3. エビデンスレベル5(V)とは何ですか
症例報告やケースシリーズなどの記述研究です。比べる相手を置かないので、効果があったかどうかの判断には使いにくい型です。
Q4. 看護研究のエビデンスレベルも同じですか
研究デザインの並びの考え方は同じです。どの分類(Minds・オックスフォードなど)を使うかで、段階の数や記号が違うので、出典の分類を確かめてください。
まとめ
- エビデンスレベルは研究デザインごとの根拠の強さの目安で、I〜VI の7段階(IV は a・b に分かれる)
- いちばん上はランダム化比較試験のシステマティックレビュー・メタ分析、いちばん下は専門家の意見
- 同じ型でも研究の質で信頼度は変わる。推奨度はレベルとは別に決まる
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